入門講座
アスファルト基礎知識
1-1アスファルトの定義
アスファルトには原油を蒸留して製造する石油アスファルトと天然に存在する天然アスファルトがあり、日本では一般に石油アスファルトをアスファルトと呼んでいます。外観は暗褐色ないし黒色で、常温では固体、半固体、粘性の高い液体で、熱を加えると容易に溶解する性質を持ちます。石油アスファルトは原油の成分中高沸点の留分であり、石油の精製を経て原油を石油ガス、ガソリン、灯油、軽油、重油などに分留した結果得られます。また、天然アスファルトは、自然に存在する原油の軽質分が蒸発してアスファルト分が残ったものと考えられています。
「アスファルト」の語源はギリシア語のa-(~でない)+sphállesthal(倒れる)が変化したもので、かたくして確実に固定することを意味すると言われています。古代ギリシアで建築物のレンガが倒れないように固定するために、天然アスファルトが使用されていたことに由来します。一方、欧州諸国ではアスファルトを「ビチューメン(Bitumen、瀝青)」と呼びます。「ビチューメン」はサンスクリット語からきたもので、元来ピッチ(原油やコールタールを蒸留して得られる黒いカス/現在ではタール、ピッチとビチューメンは区別して使われる)を意味しますが、現在では、道路舗装に用いられる瀝青物質を欧州諸国ではビチューメン、米国では「アスファルトセメント(asphalt cement)」と呼んでいます。日本では米国式の呼称を省略して「アスファルト」と呼んでいます。
野木 克義 (昭和シェル石油㈱)
- 【参考文献】
- 社団法人土木学会「舗装工学」/平成7年2月28日
- 社団法人日本アスファルト協会「アスファルトの利用技術」/平成9年11月28日
- 角川書店「外来語の語源」
- 1-1アスファルトの定義
- 1-2アスファルト利用の歴史
- 1-3アスファルト利用の歴史(年表)