入門講座

其の3

アスファルト基礎知識

アスファルトの種類や規格と試験

3-4アスファルトの試験1, 2, 3

針入度試験

図-1 針入度試験

軟化点試験

図-2 軟化点試験

(1)針入度試験

アスファルトの硬さを調べる試験で、舗装用石油アスファルト(ストレートアスファルト)の等級分けに使用されています。所定の容器に入ったアスファルトが25℃のときの、標準針の貫入量を1/10mmの単位で表し、針入度が大きいほど柔らかいアスファルトとなります。(図-1

(2)軟化点試験

アスファルトが軟化する温度を調べる試験で、舗装用石油アスファルトの性能項目の一つであるほか、ポリマー改質アスファルトを分類するときの基準として用いられています。環球上の型枠に注いだアスファルトの上に鋼球を載せ、一定の温度勾配で昇温し、アスファルトが所定の距離まで垂れ下がるときの温度を測定します。舗装用石油アスファルトの場合、軟化点が高いほど舗装の耐流動性が高くなります。(図-2

(3)伸度試験

アスファルトの延性を調べる試験で、ダンベル状に成型したアスファルトを所定の温度と速度で引っ張ったとき、試料が切断するまでに伸びた量(cm)で表されます。アスファルトの凝集性やたわみ性、ひび割れ抵抗性の指標として用いられます。(図-3

伸度試験

図-3 伸度試験

(4)トルエン可溶分試験

アスファルトがトルエンに溶解する成分の量を測定する試験で、アスファルトをトルエンに溶解させフィルターで濾過し、フィルター上に残った不純物の量を測定します。アスファルトの純度を表す指標として用いられます。

(5)引火点試験

アスファルトの引火温度を調べる試験で、アスファルトを一定の温度勾配で昇温させ、試料表面から発生する蒸気に引火する温度を測定します。加熱アスファルト混合物製造時の安全性を表す指標として用いられます。

薄膜加熱試験

図-4 薄膜加熱試験

(6)薄膜加熱試験

アスファルトが加熱アスファルト混合物製造時に受ける熱による劣化を摸した試験で、規定の容器に所定量のアスファルトを投入して薄膜状にし、163℃に保たれた恒温空気槽で5時間暴露させます。加熱前後の質量変化を測定するほか、針入度試験を実施し薄膜加熱後の針入度残留率を算出するなど、加熱時の劣化傾向を評価します。(図-4

(7)回転式薄膜加熱試験

加熱アスファルト混合物製造時に受ける熱劣化を摸した試験で、回転する円筒の内壁にアスファルト薄膜を流下させて加熱時の劣化傾向を評価します。劣化メカニズムが実際の混合物製造に近くなるように薄膜加熱試験の試験条件を変更したものです。

(8)蒸発質量変化率試験

アスファルトの加熱貯蔵時の熱安定性および耐分離性を調べる試験で、針入度試験に用いる容器に所定量のアスファルトを投入し、薄膜加熱試験と同条件で加熱します。加熱前後の質量から質量変化率を算出します。

(9)蒸発後の針入度比試験

アスファルトの加熱貯蔵時の軟質分の分離性を評価する試験で、蒸発質量変化率試験と同様に加熱した後の試料を用いて、攪拌した場合としない場合の針入度を測定します。分離傾向の強いアスファルトは針入度の比が大きくなります。

高温動粘度試験

図-5 高温動粘度試験

(10)密度試験

アスファルトの単位体積当たりの質量を測定する試験で、所定の容器にアスファルトを注入します。

(11)高温動粘度試験

アスファルトの高温(120~200℃)における動粘度を測定する試験で、毛管式粘度計にアスファルトを投入し、容器内の決められた区間をアスファルトが通過する時間を測定します。加熱アスファルト混合物の混合・締固め温度の算定やアスファルトの品質検査を目的に行われます。(図-5

(12)60℃粘度試験

60℃におけるアスファルトの粘度を測定する試験で、減圧毛管式粘度計にアスファルトを注入し、アスファルトが毛細管の一定区間を移動するのに要する時間と圧力を測定します。60℃粘度が大きなアスファルトは耐流動性が高い傾向があります。(図-6

60℃粘度試験

図-6 60℃粘度試験

(13)フラース脆化点試験

アスファルトの低温における可撓性(変形しやすさ)を評価する試験です。鋼板にアスファルトを塗布し、鋼板を曲げるという操作を、温度を次第に下げながら行い、アスファルトの塗膜に最初に亀裂が生じる温度(フラース脆化点)を求めます。フラース脆化点が低いほど、アスファルト混合物の脆性破壊温度が低くなる傾向があります。

(14)タフネス・テナシティ試験

アスファルトの把握力(タフネス)と粘結力(テナシティ)を測定する試験で、容器内のアスファルトに先端が半球状の治具を設置して、治具を所定の速度で引っ張ったときに試料が破断するまでの変位量と荷重を測定します。タフネスは骨材の把握力を、テナシティはポリマーの性状や添加量を表しています。(図-7

タフネス・テナシティ試験

図-7 タフネス・テナシティ試験

その他、アスファルトの品質を評価するための試験として、アメリカのSHRPパフォーマンスグレードに使用される、加圧劣化試験(PAV)、ダイナミックシェレオメータ(DSR)試験、ベンディングビームレオメータ(BBR)試験や、一部のポリマー改質アスファルトに使用される曲げ試験などがあります。

加納 孝志 (独立行政法人 土木研究所)

【参考文献】
1.社団法人土木学会:舗装工学、平成7年2月
2.社団法人日本道路協会:調査・試験法便覧(第2分冊)、平成19年6月
3.日本改質アスファルト協会:改質アスファルトポケットガイド、平成19年1月