入門講座
アスファルト基礎知識
アスファルト混合物の製造
アスファルト混合所では骨材加熱時、混合物製造時に消費される燃料からCO2, NOX, SOX臭気などが排出され、関連する機械施設や重機の稼動により騒音や振動が発生します。また電力の使用により間接的にCO2が排出されることになり環境負荷を与えることになります。
したがって各アスファルト混合所では環境負荷軽減を目的にさまざまな取り組みが行なわれています。ここではその一例をご紹介します。
(1)地球温暖化(CO2排出抑制)対策
アスファルト混合物の製造時のエネルギー消費量(燃料消費量)を減らすことがCO2排出量の削減につながることから、低燃費バーナの使用や、ドライヤ内の熱効率を向上させるために羽根の形状を変更する工夫などを行い、CO2排出量の抑制に努めています。
(2)大気保全対策
骨材の加熱や分級、および混合時には、ほこり(ダスト)が発生します。このホコリは、集塵機(バグフィルタ)を通り捕集されます。
また、アスファルト塊から製造した再生骨材を加熱すると、炭化水素系の臭気成分が発生しますが、この消臭成分を分解するために脱臭装置が設置されています。
(3)騒音・振動対策
アスファルト混合所での騒音の発生源は主に、バ-ナ、ファン、煙突などです。防音対策として低騒音型のバ-ナの使用やそれぞれの発生源で防音パネルや吸音材を設置して、騒音低減に努めています。
近年では、混合所設備全体を覆ってしまうなどの対策もとられています。
振動対策としては、発生源からほかの部位または地盤へ振動が伝播しないように緩衝材の設置や基礎構造の強化といった処置が行われています。
(4)アスファルト混合物のリサイクル
古くなったり、傷んだアスファルト舗装は撤去され、主に、"再生骨材" として再利用するために再生骨材製造所(多くは、アスファルト混合所)に運ばれます。
アスファルト混合所に集められたアスファルト塊は、大きさが様々であるため、そのままでは使用できません。そのため、アスファルト塊は "破砕機" という機械を使用して大きさが整えられ、再生骨材として使用されます。
再生骨材は,劣化して硬くなったアスファルトが付着していますが、 "再生用添加剤" を使って軟らかくされ、新しい骨材とアスファルトと共に混合されて "再生アスファルト混合物" として生まれ変わります。ただし、再生骨材に付着しているアスファルトが過度に劣化し硬くなりすぎているものは,再生路盤材として再利用されます。
なお、平成17年度建設副産物実態調査結果によるとアスファルト塊の再資源化率は98.6%に達しており、ほぼ全てのアスファルト舗装は、リサイクルされているといえます。
伊藤・平川 (大成ロテック㈱)
- 【参考文献】
- 福川光男:第13回アスファルトプラント(1),「舗装」2008 年1月号,p.37~44
- 漫画で学ぶ舗装工学「基礎編」、建設図書、1996年8月
- アスファルト混合所便覧、(社)日本道路協会、平成8年版
- 舗装再生便覧、(社)日本道路協会、平成16年2月
- アスファルトプラントマニュアル、(社)日本道路建設業協会
- 環境に配慮した舗装技術に関するガイドブック、(社)日本道路協会
- 7-1製造工場(アスファルト混合所)
- 7-2環境への取り組み