入門講座
アスファルト基礎知識
アスファルト舗装の施工
アスファルトは、水利構造物の防水を目的として非常に古くから利用されており、古代エジプトでナイル河護岸やB.C.1300年頃のチグリス河護岸堤防に用いた煉瓦や砂礫混合物に天然アスファルトが使用されたようです(入門講座 アスファルト基礎知識 其の1を参照)。
現在でもアスファルトは、地下構造物、橋梁の床版や水槽、タンク類等の多くの土木構造物の防水材として利用されています。
(1)橋梁および床版防水
道路橋のコンクリート床版は、水に濡れた状態で車両の繰り返し荷重を受けると、床版の耐荷力や耐久性が100分の1程度に低下すると言われているため、床版防水層は重要な役割を果たしています。
防水材料には橋梁が置かれているさまざまな交通条件や施工条件などに合わせて、シート防水、常温シート防水、塗膜系防水などがあります。シート系防水材料は、ポリエステル不織布やガラス繊維クロスを芯材に使用し、それに特殊なアスファルトを含浸させたものです。また、加熱型の塗膜系防水は、加熱溶融した特殊なアスファルトを床版面に塗布するものであり、施工性に優れているため橋面舗装の補修時に多く採用されています。シート系防水材の施工工程を写真-1に示します。
(2)建築防水
主に建物の屋上等に施す防水のことを指します。その種類は、主に高い信頼性と豊富な実績のあるアスファルト防水、単層で構成されるシート防水、様々な形状に対応する塗膜防水があります。
(3)水工アスファルト
水工アスファルトとしては、フィルダム・調整池の表面遮水壁(フェーシング)、水路・溜池の内張り漏水防止層(ライニング)、フィルダムの内部遮水壁(センターコア)、干拓堤防における侵食防止を目的とした被覆工(リベットメント)等の水利構造物に利用されています。
フィルダムの表面遮水壁に利用する場合は、不透水性、変形追従性および厳しい条件化での耐久性が必要とされます。材料は、特殊な加熱アスファルト混合物が使用されます。