入門講座
アスファルト基礎知識
アスファルト舗装の施工
9-5その他への利用
(1)建築
建築分野でのアスファルトの利用方法には、床防音材、床材、鋼管塗布があります。床防音材としては、アスファルト系木造住宅用床防音材があります。
アスファルト系木造住宅用床防音材は、「制振」、「遮音」2つの機能を持ちます。防音材は、比重の大きい転炉スラグ等をアスファルトで混練して板状に形成し、表面にポリエステル不織布を装着したマット状のものでマンションの木質フローリング等に適用されています。床材は、アスファルト混合物またはアスファルトブロック、カーペットやタイルなどに加工して利用されます。この中で、アスファルトブロックは古い歴史をもっており、アスファルト・石油樹脂と砂・砕石・石粉およびカラー顔料をミキサで混合して一定の型枠に入れプレス機で圧縮(300t)し、冷却した後に製品となります。
また、鋼管塗布は、水道用鋼管の外面に用いられます(内側は液状エポキシ樹脂)。
(2)特殊なアスファルトの利用
以下に少し変わったアスファルトの利用方法を紹介します。
- ①電気絶縁用
- 電気絶縁用コンパウンドは、価格が低廉で耐湿性に優れ、溶剤を含まないため高圧絶縁にも適するため明治の中頃から使用されています。
- ②レンズ研磨用(ピッチ研磨)
- ピッチ研磨はみがき皿材料(ポリシャ)としてアスファルト、タールピッチ、ウッドピッチを使う研磨法で18世紀から光学工業界における精密光学部品の研磨法として使われています。
- ③のり面緑化用、ノウサギ忌避剤用
- のり面緑化工は、種子、肥料、ファイバーと侵食防止剤としてアスファルト乳剤を水と混合したものをのり面に散布します。これにより、太陽光の熱吸収性に優れる、100mm/day程度の降雨に対する侵食が少ない等の特徴があります。
- また、アスファルト乳剤は、スギやヒノキ等の造林木の頂芽、葉、小枝、樹皮等を摂取する小動物からの被害を防ぐために2倍に薄めたものを苗木に浸漬や散布し、ノウサギ忌避剤として使用されます。
- ④放射性廃棄物の固化材
- アスファルトは、遮水性、封鎖性あるいは化学的安定性が高いことから低レベル放射性廃棄物の固化に使用されます。使用されるアスファルトは固化処理装置によって異なり、ストレートアスファルト40/60やブローンアスファルトが使用されています。
- ⑤その他
- 燃料用アスファルトやアスファルトエマルジョン燃料、酢酸原料用アスファルトや高付加価値品(粉末アスファルトカプセル、炭素材料等)としての利用等の様々な分野で使用されています。
高馬 (ニチレキ㈱)
- 【参考文献】
- アスファルト193、194「アスファルトの利用技術」
- アスファルト乳剤の基礎と応用技術;日本アスファルト乳剤協会
- http://www.nippo-c.co.jp/tech_info/general/SG07003_g.html;(株)NIPPOホームページ
- http://www.kajimaroad.co.jp/tech_data/t012-00068.html;鹿島道路ホームページ
- http://www.nichireki.co.jp/tech/;ニチレキホームページ、カタログ