入門講座
アスファルト基礎知識
4-2アスファルト乳剤の歴史
アスファルト乳剤は明治39年(1906年)にアメリカのカールマンが特許を得、明治42年(1909年)にはドイツのレインフォールド・ウオルマンが防塵、防水用に製造したという記録があります。道路用材料としては、大正4年(1915年)頃にイギリスでコールドスプレーと呼ばれて砂利道の瀝青路面処理に用いられたのが最初と考えられています。我が国においてアスファルト乳剤の使用が始まったのは大正末期からで、関東大震災後の復旧事業で道路舗装工事が盛んになり、施工が安価で簡便な工法が求められるなか、舗装用乳剤の導入によって簡易舗装技術が急速に発達しました。
戦後は、表面処理や防塵処理、簡易舗装などに大量に使用され、我が国の経済復旧とともに需要を伸ばし日本経済の発展に貢献しました。しかし、舗装が更に強度を求められ段々と高級化するにつれ、加熱アスファルト合材プラントが相次いで設置されていきました。このため、とりあえず挨のたたない道路をという時代には重宝がられたアスファルト乳剤も、昭和45年の生産量71万tをピークに年々減少の一途を辿り、昭和55年には30万t台にまで落ち込みました。以後は30万t強の横ばい低迷状態が現在にまで至っています。
大場 拓也 (東亜道路工業㈱ 技術研究所)
- 【参考文献】
- 社団法人日本アスファルト乳剤協会「アスファルト乳剤の基礎と応用技術」平成18年版
- 社団法人日本アスファルト乳剤協会ホームページ http://www.jeaa.or.jp/
- 4-1アスファルト乳剤とは?
- 4-2アスファルト乳剤の歴史
- 4-3電荷の違いによるアスファルト乳剤の種類
- 4-4用途によるアスファルト乳剤の種類
- 4-5プライムコートとタックコート