入門講座
アスファルト基礎知識
4-3電荷の違いによるアスファルト乳剤の種類
アスファルト乳剤の主成分はストレートアスファルトで50~70%を占めます。2番目に多い成分は水で、その次が乳化剤です。アスファルト乳剤は乳化剤の性状に大きく依存し、使用する乳化剤の種類により分類されています。
(カチオン系乳剤)
現在道路用として使用されているほとんどはカチオン系乳剤です。安定性に優れていながら、使用後は速やかに分解して骨材の表面にアスファルト皮膜を形成します。このため水が蒸発しなくても分解・硬化するので舗装材料に適しています。カチオンとは陽イオン(プラスイオン)を意味します。
(アニオン系乳剤)
分解が遅く、付着性にも劣るため道路用には使用されなくなりましたが、長時間の保存に耐えるため、スラリーシールや防水用アスファルト乳剤などとして使用されています。カチオン系乳剤とは異なり一般にアルカリ性を示します。アニオンとは陰イオン(マイナスイオン)を意味します。
(ノニオン系乳剤)
電荷を持たず化学的にも安定で、アルカリであるセメントなどのフィラーとも容易に混合できるため、路上路盤再生工法やセメント乳剤モルタル用の乳剤などに使用されています。
大場 拓也 (東亜道路工業㈱ 技術研究所)
- 【参考文献】
- 社団法人日本アスファルト乳剤協会「アスファルト乳剤の基礎と応用技術」平成18年版
- 社団法人日本アスファルト乳剤協会ホームページ http://www.jeaa.or.jp/
- 4-1アスファルト乳剤とは?
- 4-2アスファルト乳剤の歴史
- 4-3電荷の違いによるアスファルト乳剤の種類
- 4-4用途によるアスファルト乳剤の種類
- 4-5プライムコートとタックコート